SMC PENTAX 1:2.8 24mm & SMC PENTAX-A 1:2.8 24mmの特許について
SMC PENTAX 1:2.8 24mmは1977年に発売されたレトロフォーカス型広角レンズである。このレンズはKシリーズが発売されたときにはF3.5でTAKUMARレンズと同じ光学系の24mmであったが、Mシリーズが出た時に設計変更された表題のレンズが登場した。MシリーズではなくSMC PENTAX-A 1:2.8 24mmとしてAシリーズになっても残った設計のレンズとなった。このレンズの特許は、旭光学工業の高橋泰夫氏の特開昭50-144435(1974年出願)=日本登録特許第1018615号であると推定される。このレンズのカタログのレンズ構成図と特許のレンズ構成図は似ていて同じではありません。
まず、異なるのは第1レンズの厚みが実際のレンズのほうがほぼ第2レンズと同じくらいです。また、レンズ径が各構成レンズで異なります。そこで、今回、特許データを入力してから、第1レンズの厚みを薄くしています。第3レンズと第4レンズのRが大きくなっています。そこで、なるべく近くなように次のような構成の類似データを示します。
今回のレンズのパワー配置は、+-(-+)-|+-++からなる8群9枚構成のレトロフォーカス型広角レンズである。前群は第1レンズから第5レンズまでで合成焦点距離-15.31mmであり、後群のマスターレンズは絞りを介して第6レンズから第9レンズまでで合成焦点距離+20.04mmとなっている。
このレンズは、特許出願時のデータのまま発売されたのではなく、出願年が1974年で発売が1977年であることから、その間に特許データであると球面収差も大きく像面湾曲も大きいので、設計を変更して最終的に製品形態のレンズ構成になったと推定されます。当時としてはこの画角のレンズとしては、MTF特性はよいと言える。
(記録)2023.11.07設計データを筆者自身で多少修正して収差が少なくなるように修正した推定データに変更。実製品とは違うことを予めご承知おきください。