ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(99)富岡光学TOMINON 1:2.8 35mmの特許について

富岡光学TOMINON 1:2.8 35mmの特許について

 

富岡光学がのちに京セラオプティックスとなり、ヤシカコンタックスのレンズなどのOEM製品などを長年手掛けたメーカーであるが、少ないながらも自社ブランドのレンズも出していた。その中でも珍しいのが今回取り上げるTOMINON 1:2.8 35mmではないだろうか。本レンズの特許は恐らく東海大学工学部光学工学科の草川 徹教授と木下三郎氏(1966年頃の特許から小西六にいらした方のようで、のちにコシナで特開昭57-6819などを出願している方で、晩年は独立して木下光学設計事務所となる)が設計した特開昭52-33526(1975年出願)=特許第1017365号のものであると推定される。卒業研究で設計したレンズがあるという噂のレンズではないかと推定されるものである。草川研究室には、当時からオリンパス光学の中川治平先生も出入りしていて、後に教鞭も同学科で取るようになり、レンズ設計工学というコマを担当していた。草川教授は大学の大型計算機用のレンズ設計プログラムを開発して、自動設計の研究をされていた。恐らくこの当時のシステムを使って計算していたのではないだろうか。

富岡光学TOMINON 1:2.8 35mmのレンズ構成図

本レンズは、5群5枚構成のレトロフォーカス型光学レンズであり、パワー配置は、-++|-+となっている。第1レンズが負のパワーのメニスカス凹レンズが前群となり、焦点距離-30.08mmである。後群は第2レンズから第5レンズからなり、第2レンズが光路長が長い正の凸レンズからなり、第3レンズが正のメニスカス凸レンズ、絞りを介して、第4レンズが負の凹レンズ、第5レンズが正の凸レンズから構成されるマスタレンズで合成焦点距離+26.47mmである。第2レンズがこのように光路長が長い正の凸レンズを持ってくるのは、旭光学の風巻氏のレトロフォーカス型広角レンズを参考にしたのではないかと推定される形状である。

 

TOMINON 1:2.8 35mmの収差図’(縦)

TOMINON 1:2.8 35mmの収差図’(横)

TOMINON 1:2.8 35mmの非点収差図

TOMINON 1:2.8 35mmのLateral Color(倍率色収差)

TOMINON 1:2.8 35mmの2nd.Spectra

TOMINON 1:2.8 35mmのSpotdiagram

TOMINON 1:2.8 35mmの波長毎のSpotdiagram

TOMINON 1:2.8 35mmのSpot R.M.S 半径の波長毎の像高依存性

TOMINON 1:2.8 35mmの幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

 

TOMINON 1:2.8 35mmの幾何光学的MTF(10/20/40LPM)