ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(97)SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの特許データについて

PENTAX-645システムについて

 

1984年に旭光学工業は満を持してセミ判フォーマットのPENTAX 645が発売された。当時はフィルムバック式にはなっていたが、単純に予めフィルムをセットしたバックであり、途中で交換できない方式であり、いろいろと評価が別れて酷評されたカメラシステムであった。ペンタックス67と異なり、フィルムバック交換式になった理由は、このカメラの開発者は鉄道写真家としても有名な方が絡んでおり、ブローニーフィルムの迅速な交換を可能にすることを目的にこのようなシステムになったようです。このペンタックス645シリーズは、フィルムバックが途中交換できないので、レンズの良さをアピールしてユーザーを獲得するという戦略を当時取ったそうです。レンズは35mmフィルム並みの高解像度の高性能レンズを目指した設計思想で設計されたそうです。最初のラインナップは広角35mmから超望遠600mmまでの単焦点とズーム2本、レンズシャッター内蔵レンズ2本、マクロレンズ1本の計13本のラインナップのレンズ群が発売された。

残念ながら2023年6月にPENTAX645Zの販売終了し、後継機のアナウンスはリコーイメージングからアナウンスがなく、残念ながらペンタックス645は終わったようです。悲しいことですが、これでペンタックスから中判システムがペンタックス67に続き終了したことになる。(正式なアナウンスがないので本当に終わったかはわかりません。)

The History of PENTAX645 series

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの特許データについて

ペンタックス645シリーズの13本のレンズの内、4本しか特許が同定できていないので、順次紹介していきます。今回は表題の一番このシリーズで焦点距離が短いものから紹介します。ペンタックス645システムのレンズのラインナップには魚眼レンズがないことから本レンズが画角90度の一番の広角レンズである。本レンズの特許は旭光学工業の杉山孝浩氏設計の特開昭61-285417(1985年出願)の実施例1と推定される。

 

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmのレンズ構成図

前群は第1レンズから第4レンズからなり、パワー配置は+---となっていて、その合成焦点距離は-14.8mmである。後群のマスタレンズは第5レンズから第9レンズから構成され、そのパワー配置は++|(+-)+となり、貼り合わせの部分は全体で負のパワーであり、++|(-)+となっていて、その合成焦点距離は+25.8mmである。バックフォーカス長BFL=58.89mmである8群9枚構成のレトロフォーカス型広角レンズである。マクロ120mmF4レンズより最短撮影距離が短い0.3mとなっている。

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの収差図(縦)

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの収差図(横)

 

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの非点収差図

 

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmのLateral Color (倍率色収差

 

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの2nd.Spectra

 

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmのスポットダイヤグラム

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの波長毎のスポットダイヤグラム

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの波長毎のR.M.S.スポット半径の像高の変化

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

SMC PENTAX-A645 1:3.5 35mmの幾何光学的MTF(10/20/40LPM)


1984年当時でこの高性能なレンズということに改めてわかった感じがする。35mm判と同じ基準で設計製造されている言われているので、高解像度重視で作られたレンズだということがMTF図や各収差図などからも伺える。少し欠点としては、短波長側のハロが天体写真を撮影すると目立つ事がA645シリーズ全体に言われている。スポットダイヤグラムを見ると、そのようなことがわかる。