ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(103)SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの特許データについて

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの特許データについて

 

ペンタックス645シリーズの最初のシリーズのレンズの1本であるSMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmは、旭光学工業の久保雅春氏の設計である特公昭61-48129(1981年出願)=登録特許第1387297号の実施例3と推定される。本特許は実施例が3例あるが、実施例3だけがガラス種が5種で構成されていて、実施例1と2はガラス種が6種でできていることから、コスト面からガラス種が少ないほうがコストダウンになるはずなのと、ペッツバール和が一番小さいこと、こちらがカタログのレンズ構成図と一番類似していることから実施例3としました。日本特許庁の吉野公夫審査官の参考文献としは、①特開昭51-72432旭光学、②特開昭51-122435旭光学、③特開昭55-77712小西六が記載されている。①と②が杉山氏の特許、③が下倉敏子氏の特許である。

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmのレンズ構成図

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmのレンズ構成は、第1レンズがメニスカス凸レンズ、第2レンズがメニスカス凹レンズ、第3レンズはメニスカス凹レンズで、ここまでが前群となり、合成焦点距離は-39.765mmとなっている。後群のマスターレンズは第4レンズは両凸レンズ、第5レンズは両凸レンズ、第6レンズは凹レンズ、第7レンズはメニスカス凸レンズ、第8レンズはメニスカス凹レンズと第9レンズはメニスカス凸レンズからなり貼り合わせの正のパワーの第8群を形成している。マスターレンズの合成焦点距離は+38.689mmである。改めてパワー配置は、+--+|+-+(-+)となる8群9枚構成のレトロフォーカス型広角レンズとなっている。

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの収差図(縦)

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの収差図(横)

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの非点収差図

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmのLateral Color(倍率色収差)

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの2nd.Spectra

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmのスポットダイヤグラム

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの波長毎のスポットダイヤグラム

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの波長毎のR.M.S.スポット半径の像高依存性

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

SMC PENTAX-A645 1:2.8 45mmの幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

この広角レンズが少し残念なのは非点収差が大きいことと、像面湾曲収差のs方向とt方向の差が大きいことで、周辺の解像度が落ちている要因となっていることだろう。後継システムのP645Zのデジタルカメラでに使用するレンズとしてはお勧めしない。