ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(120)TAMRON SP 500mmF/8の特許データについて

TAMRON SP 500mmF/8の特許データについて

 

TAMRON SP 500mmF/8(55BB)はタムロンアダプトール2マウントを介して各社の一眼レフカメラに取り付けられた反射望遠レンズです。焦点距離:500mm開放F値:8.0
レンズ構成:4群7枚で最短撮影距離:1.7mで最大撮影倍率:1:3、フィルター径:30.5mm フード:28FH 重さ:595g 最大径X全長:84mmx91.5mmで1983年発売製造終了2006年と長く製造販売された。価格は税抜き62,400円であった。

本レンズの特許は特開昭55-38520(出願1978年)実施例1と推定される。設計はタムロン高野栄一氏である。

TAMRON SP 500mm F8のレンズ構成図

第1レンズは正のパワーを持つ両凸レンズ(ドーナツ形状)を介して、第2レンズは裏面鏡の正のパワーを持つドーナツ形状の凹面鏡(図でそうなって表示されていません)で一旦光路が物点側に戻され、第3レンズは裏面鏡の負のパワーを持つ凸面鏡となっている。第4レンズは負のパワーを持つメニスカス凹レンズ、第5レンズは負のパワーを持つメニスカス凹レンズで、最後の第6レンズは正のパワーを持つ両凸レンズとなっている。いわゆる裏面鏡タイプのRUMAK型マクストフ反射望遠鏡タイプである。

TAMRON SP 500mm F8の収差図(縦)

TAMRON SP 500mm F8の収差図(横)

TAMRON SP 500mm F8の非点収差図

TAMRON SP 500mm F8の倍率色収差図(Lateral Color)

TAMRON SP 500mm F8の2nd. Spectra(波長によるピント位置のずれ)

TAMRON SP 500mm F8のSpotdiagram

TAMRON SP 500mm F8の波長毎のSpotdiagram

TAMRON SP 500mm F8の波長毎のSpot半径の像高依存性

TAMRON SP 500mm F8の幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

TAMRON SP 500mm F8の幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

 

(119)New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の特許データについて

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の特許データについて 


Reflex-Nikkor 500mm F8は1984年4月に発売されたニコンFマウント用の反射望遠レンズである。特許は特開昭60-1842231984年出願)特許1741580号=US4666259(Filed 1985年)の実施例1と推定される。設計は日本光学の飯塚 豊氏である。

本来の設計値はF6.7であるが製品はF8となり、内蔵フィルタがあるので、それを加えてF値をF8にして計算を行った結果を示します。

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の構成図

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の収差図(縦)

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の収差図(横)

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の非点収差図

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の倍率色収差図(Lateral Color)

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の2nd. Spectra

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8のスポットダイヤグラム

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の波長毎のスポットダイヤグラム

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8のスポット径の波長毎の像高依存性

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

New REFLEX-NIKKOR 500mmF8の幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

 

(118)SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の特許について

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の特許について

 

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12は反射望遠タイプのズームレンズとなっていて、非常にユニークなレンズとなっている。本レンズの特許は恐らく特開昭57-44115(出願1980年)の実施例3と推定される。設計は旭光学工業(当時)の伊藤孝之氏である。実施例3はF6.8-F9.9となっているが製品はF8-12となっているので、本実施例をF8-12に変更したデータを示します。(2024.03.18修正版)

 

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12のレンズ構成図

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12のズーム時の動き

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の収差図(縦)

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の収差図(横)

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の非点収差図

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の倍率色収差図(Lateral Color)

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の2nd. Spectra

 

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12のSpotdiagram

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12のSpotdiagram

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の波長毎のSpotdiagram

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12の波長毎のスポット径の像高依存性

SMC PENTAX REF ZOOM 400-600mmF8-12のMTFの周波数依存性













(117)Cosina Voigtländer Nokton50mmF1 Aspherical E-mountの特許データについて

Cosina Voigtländer Nokton50mmF1 Aspherical E-mountの特許データについて 

本レンズは2024年3月にコシナ社から発売されるソニーEマウントに最適化された大口径標準レンズで、本レンズの特許は同社の荻野和博氏設計の特開2003-63766(出願2021年)の実施例1であると推定される。

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalのレンズ構成図

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalのレンズ構成図

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalのレンズ構成は、第1レンズは高屈折率ガラスのメニスカス凸レンズで第1面が切削非球面レンズとなっている。第2レンズはメニスカス凸レンズの高屈折率ガラスが使われているレンズとなり、第3レンズはメニスカス凹レンズの高屈折率ガラスが使用されている。ここまでが前群で、絞りを介して、後群は、第4レンズの凹レンズと第5レンズの凸レンズが貼り合わされて第4群の負のパワーを持つレンズを構成し、第6レンズは両凸レンズ、第7レンズと第8レンズを張り合わせて第6群を構成する正のパワーを持つレンズを構成し、第9レンズは切削両面非球面の高屈折率ガラスのメニスカス凹レンズとなっている7群9枚構成の標準レンズである。

パワー配置を改めて示すと、++ー|(ー+)+(+ー)ーとなっているレンズで、標準レンズにありがちなダブルガウス型レンズではなく、非ダブルガウス型レンズである。第1レンズと第9レンズに切削式非球面レンズを使っているので、軸だしと非球面加工精度をどのくらいで管理しているかによって、実製品ではばらつきがどの程度のものが提供されているかいつも同社のレンズには興味がある。理由は曲率が大きな非球面レンズは加工精度がダイレクトに像へ影響するからである。

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの収差図(縦)

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの収差図(縦)

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの収差図(横)

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの収差図(横)

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの非点収差図

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの非点収差図

Voigtländer Nokton50mmF1 AsphericalのLateral Color(倍率色収差)

Voigtländer Nokton50mmF1 AsphericalのLateral Color(倍率色収差

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの2nd.Spectra

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの2nd.Spectra

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalのスポットダイヤグラム

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalのスポットダイヤグラム

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの波長毎のスポットダイヤグラム

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの波長毎のスポットダイヤグラム

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの波長毎のスポット半径の像高変化

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの波長毎のスポット半径の像高変化

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

Voigtländer Nokton50mmF1 Asphericalの幾何光学的MTF(10/20/40LPM)












 

 

(116)小西六 Hexanon 1:1.9 f=50mm(L)の特許データについて

Hexanon 1:1.9 f=50mm(L)の特許データについて


本レンズは、1955年小西六写真工業から出されたライカLマウントのレンズの内の1本である。本レンズの発表は前年の1954年10月になされている。本レンズの特許は小西六写真工業で光学設計をされていて、後に旭光学工業にて多くのタクマーレンズを設計した風巻友一氏による特公昭29-1225(出願1951年)のF1.6の設計のレンズをF1.9にしたものと推定している。本レンズの権利者は設計者御本人の風巻友一氏になっていて、小西六写真工業ではない。本レンズはゾナー型レンズの欠点を改良したものである。ここではライカの標準レンズの焦点距離である51.6mmにした時のデータを示す。

HEXANON 50mmF1.9(L)のレンズ構成図

本レンズ構成は、第1レンズがメニスカス凸レンズ、第2レンズがメニスカス凸レンズで第1レンズとガラスは同じものがつかわれている。次に第3レンズはメニスカス凹レンズとなり、ここまでで前群となり、前群に貼り合わせ面がない。絞りを介して後群として、第4レンズの両凹レンズと第5レンズの両凸レンズ(ガラスは第1と第2レンズと同じ種が使われている)とが貼り合わされて合成焦点距離として正パワーを持つ第4群を形成し、第6レンズの両凸レンズからなる5群6枚構成のレンズとなっている。パワー配置は順に、++-|(-+)+となる変形ガウス型構成である。バックフォーカス長は30.15mmである。

本レンズは旧ガラスだけで構成された5群6枚構成のRF用標準レンズであり、後にSLR用に改良されていく、ベースとなった風巻氏の最初の標準レンズ構成というのが筆者の印象である。

HEXANON 50mmF1.9(L)の収差図(縦)

HEXANON 50mmF1.9(L)の収差図(横)

HEXANON 50mmF1.9(L)の非点収差図

HEXANON 50mmF1.9(L)のLateral Color(倍率の色収差)

HEXANON 50mmF1.9(L)の2nd. Spectra(波長によるピント面移動)

HEXANON 50mmF1.9(L)のスポットダイヤグラム

HEXANON 50mmF1.9(L)の波長毎のスポットダイヤグラム

HEXANON 50mmF1.9(L)の波長毎のスポット径の像高変化

HEXANON 50mmF1.9(L)の幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

HEXANON 50mmF1.9(L)の幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

本レンズはピント位置を0.13mmほど物点側に繰り出した方がMTF特性は改善し、解像度が上がる。このような特性はオールドレンズには多く見られる。

(115)Canon Camera CANON LENS 50mm 1:0.95の特許について

CANON LENS 50mm 1:0.95の特許について

 

このレンズは当時世界で一番明るい標準レンズとして販売されたものである。本レンズの特許はキヤノンカメラの向井二郎氏の設計である特公昭39-10178(出願1960年)である。変形ガウス型の5群7枚構成のオリジナル3爪マウントに取付けて使用するレンズである。市場にはマウントを改良したもので、ライカで使用できるものが散見されます。

CANON LENS 50mm 1:0.95のレンズ構成図

第1レンズがメニスカス凸レンズで、第2レンズもメニスカス凸レンズで、第3レンズの両凸レンズと第4レンズの両凹レンズが貼り合わされて負のパワーを持つ第3群を形成し、ここまでが前群となる。絞りを介して、後群として第5レンズの両凹レンズと第6レンズの両凸レンズが貼り合わせられて正のパワーを持つ第4群を形成している。第7レンズは両凹レンズとなっている。

本レンズのパワー配置を改めて書くと、++(+-)|(-+)+となる5群7枚構成となっています。

 

CANON LENS 50mm 1:0.95の収差図(縦)

CANON LENS 50mm1:0.95の収差図(横)

CANON LENS 50mm 1:0.95の非点収差図

CANON LENS 50mm 1:0.95のLateral Color(倍率色収差)

CANON LENS 50mm 1:0.95の2nd.Spectra

CANON LENS 50mm 1:0.95のスポットダイヤグラム

CANON LENS 50mm 1:0.95の波長毎のスポットダイヤグラム

CANON LENS 50mm 1:0.95の波長毎のスポット径の像高変化

CANON LENS 50mm 1:0.95の幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

CANON LENS 50mm 1:0.95の幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

 

(114)Canon Camera CANON 50mm F2.8 Iの特許データについて

Canon Camera CANON 50mm F2.8 Iの特許データについて

 

本レンズはキヤノンがライカLマウントのカメラ用標準レンズとして設計した3群4枚構成のいわゆるテッサー型のレンズである。設計は当時の同社のレンズを多く手掛けた向井二郎氏である。特許は特許出願公告昭34-5385(出願1955年11月12日)と推定される。発売が1955年1月で当時の価格が16000円であった。ということは発売されてから特許を出している。

CANON 50mm F2.8 Iのレンズ構成図

このテッサー型ではあるが、従来の設計とは異なる点はガラスである。新種ガラスをつかったことで従来はF3.5程度であったものをF2.8のものが設計でき、色収差、球面収差、歪曲収差などの各収差を従来品品より改良できたというものである。
第1レンズはメニスカス凸レンズでこのガラスが新種ガラスである。第2レンズの両凹レンズからなり、テッサー型ではこのレンズが各種収差補正に影響が一番大きいものである。絞りを介して、第3群は第3レンズの物点側が平面の平凹レンズと第4レンズの新種ガラスの両凸レンズが貼り合わせて構成されて、3群4枚構成となっている。ライカマウントであることから焦点距離は51.6mmにしている。

CANON 50mm F2.8 Iの球面収差・像面湾曲収差・像面歪曲収差図(縦)

CANON 50mm F2.8 Iの収差図(横)

CANON 50mm F2.8 Iの非点収差図

 

CANON 50mm F2.8 IのLateral Color(倍率色収差)

 

CANON 50mm F2.8 Iの2nd.Spectra(波長によるピント位置の移動)

CANON 50mm F2.8 Iのスポットダイヤグラム

CANON 50mm F2.8 Iの波長毎のスポットダイヤグラム

CANON 50mm F2.8 Iの波長毎のスポット径の像高変化

CANON 50mm F2.8 Iの幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

CANON 50mm F2.8 Iの幾何光学的MTF(10/20/40LPM)