SMC PENTAX SHIFT 1:3.5/28 & smc PENTAX SHIFT 1:3.5 28mmの特許データについて
このレンズは某サイトには1975年発売と書いてあるが、1975年の取扱説明書には掲載されていないレンズであり、Mシリーズが出たときの特殊レンズの1本であり、正確には私もわからないが1978年の取り扱い説明書には掲載されているので、Mシリーズの出た1977年頃に発売されたのではないだろうか。
本レンズはシフトレンズであり、シフト量は11mmある28mm広角レンズで、そのシフト量に合わせてイメージサークルを35mm判のΦ43より大きくする必要がある。このため、それより広角の対角102度の画角の広角レンズと同様の設計をしていると言える。このレンズ構成は、11群12枚でその内第6群は内蔵フィルタとなっている。内蔵フィルタは3種組み込まれている。本レンズの特許は、旭光学工業（当時）の高橋泰夫氏の特開昭49-12823（1972年出願）の実施例１と推定される。しかしながら、カタログや取り扱い説明書の構成図を見ると最終製品とは明らかに第5群のレンズの厚みが実際の製品の方がかなり厚みがあることがわかる。これは像面弯曲収差を改善することが行われていると推定される。恐らくこの特許のデータより設計が変更されて発売されたものと推定される。したがって、今回紹介するデータより実製品はよくなっていると推定している。現物が残念ながら所有していないので、今回も実写の作例はありません。このレンズは2004年頃まで販売されていたようです。タイトルに記載したようにレンズ銘板のデザインで前期と後期モデルが存在していて、恐らくガラス素材の変更1990年代初頭に光学ガラスメーカーで実施されたので、それに対応して設計変更が行われている可能性が高いと推測している。今回のレンズ構成図には入射光線6本分の光線が出ている（図には12本の光線がある）。この一番外側は半画角51度相当の光線で、シフトしなければ入射光線5本までが通常の28mm広角レンズ相当の半画角37.5度になる。
球面収差の補正はアンダーコレクションタイプであり、像面湾曲収差は大きくなっている。通常28mmとして使用するとしても樽型の収差が目立つと推察される。
5番目までは通常の28mm時のスポットダイヤグラムとなる。なおシフト時はF8以上に絞って使用することになっている。この図はF3.5開放時である。
