SMC PENTAX 1:2/28の特許について
このレンズは公にはしていないが、カールツアイスが日本メーカの提携先を模索していた時に技術提携として旭光学工業に白羽の矢が当たった。のちにそれは解消されてしまいカールツアイスはヤシカと提携することになる。旭光学からカールツアイスに高橋泰夫氏が派遣されたようです。このような背景からかどう見てもビオゴンタイプのレンズとしか見えない一眼レフ用ではないレンズの特許が何本か高橋泰夫氏の発明特許が出ている。旭光学からはどうみてもこのような光学系で製品化されるとは思えないレンズ構成なのである。
ということで、早速本題のレンズですが、下の図を見てほしい。このレンズの特許はCarl ZeissのErhard Glatzel氏設計のUS3958864(ドイツ出願1973年優先権主張)のFig.7が製品化された設計とほぼ一緒であることがわかる。しかも両者から製品化されたレンズである。実はこの2本共に実際に所有していた時期がある。現在はY/Cシステムは手元から処分してなくなっているので、もう一度比べる事ができないのが残念である。どちらも貴重なものになってしまっている。技術提携が解消されてしまったので、恐らくPENTAXレンズ版の方が製造本数が少ないと推定されます。
よく見てもらうとわかるが、第6レンズのコバ処理がこの2本で仕様が異なることがわかる。PENTAXは第6レンズの中間付近に固定絞りに当たる溝を切っているのに対して、Distagonは第6レンズの像面側を故意にカット径が大きくなっている。あと、第7と第8レンズ径が異なるのである。同じ設計であったとしても、各レンズの径の大きさや形状で周辺光線の使い方が変わるので、恐らく開放時の像が異なると推定されます。
第1レンズから第3レンズが前群-+-で、この3群で負のパワーを持ち、合成焦点距離は-35.62mmとなっている。第4レンズ以降がマスタレンズと考えられ、貼り合わせの第4群(+)|+-++と正のパワーを持ち、合成焦点距離+34.56mmとなり、最終的に合成焦点距離が28mmとなります。バックフォーカス長は35.55mmで実はこの合成F値は2.1になっていて、F2ではないのです。今回この図に示したようなPENTAXの第6レンズに近い形状で計算を行った結果を示します。
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