ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(84)smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの特許について

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの特許について

 

このレンズは、旭光学工業の窪田敏文氏が設計した特公昭53-16627(1976年出願)の実施例3が相当すると推定される。本特許は実施例が3例あるが、カタログのレンズ構成図と一番近いものがこの実施例3であった。本特許は7群7枚構成のレトロフォーカス型広角レンズのもので、小型を目的にした設計条件を規定した内容になっている。

前群は-+-のパワーからなる第1レンズから第3レンズからなり、3枚のレンズ全体で負のパワーとなり、合成焦点距離は-26.09mmである。後群は第4群から第7群からなる正のパワーを持つマスターレンズ+|-++の構成で、合成焦点距離+21.74mmとなっている。実寸サイズは長さ31mm外径66mmと小型化は実現している。

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのレンズ構成図

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのレンズ構成図

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの収差図(縦)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの球面収差・像面湾曲収差・歪曲収差図(縦)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの収差図(横)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの収差図(横)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mm の非点収差図

smc PENTAX-M 1:2.8 28mm の非点収差図

球面収差はプロファイルはよいが、像面弯曲収差が大きく、同様に非点収差も大きい。歪曲収差が-2%近くで樽型になる。

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのスポットダイヤグラム

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのスポットダイヤグラム

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのスポットダイヤグラム(波長毎)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのスポットダイヤグラム(波長毎)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのスポットダイヤグラム(ピント移動)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのスポットダイヤグラム(ピント位置移動)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのLateral Color(倍率色収差

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの2nd. spectra

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの2nd. spectra

レトロフォーカス型広角レンズで、周辺に行くほど倍率の色収差が大きく残っていて、色滲みが残り、周辺像は甘くなる傾向を示すと推定される。

幾何光学的MTFを次に示すが、本数を最初に7.5/15/30LPM(本/mm)の結果を示します。

 

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのMTF(7.5/15/30LPM)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

いつもと同じ40LPMの幾何光学的MTFはを示しておく。

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmのMTF(10/20/40LPM)

smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

このレンズは開放では柔らかい描写を示し、独特の描写のレンズと思われる。