smc PENTAX-M 1:2.8 28mmの特許について
このレンズは、旭光学工業の窪田敏文氏が設計した特公昭53-16627(1976年出願)の実施例3が相当すると推定される。本特許は実施例が3例あるが、カタログのレンズ構成図と一番近いものがこの実施例3であった。本特許は7群7枚構成のレトロフォーカス型広角レンズのもので、小型を目的にした設計条件を規定した内容になっている。
前群は-+-のパワーからなる第1レンズから第3レンズからなり、3枚のレンズ全体で負のパワーとなり、合成焦点距離は-26.09mmである。後群は第4群から第7群からなる正のパワーを持つマスターレンズ+|-++の構成で、合成焦点距離+21.74mmとなっている。実寸サイズは長さ31mm外径66mmと小型化は実現している。
球面収差はプロファイルはよいが、像面弯曲収差が大きく、同様に非点収差も大きい。歪曲収差が-2%近くで樽型になる。
レトロフォーカス型広角レンズで、周辺に行くほど倍率の色収差が大きく残っていて、色滲みが残り、周辺像は甘くなる傾向を示すと推定される。
幾何光学的MTFを次に示すが、本数を最初に7.5/15/30LPM(本/mm)の結果を示します。
いつもと同じ40LPMの幾何光学的MTFはを示しておく。
このレンズは開放では柔らかい描写を示し、独特の描写のレンズと思われる。