ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(116)小西六 Hexanon 1:1.9 f=50mm(L)の特許データについて

Hexanon 1:1.9 f=50mm(L)の特許データについて


本レンズは、1955年小西六写真工業から出されたライカLマウントのレンズの内の1本である。本レンズの発表は前年の1954年10月になされている。本レンズの特許は小西六写真工業で光学設計をされていて、後に旭光学工業にて多くのタクマーレンズを設計した風巻友一氏による特公昭29-1225(出願1951年)のF1.6の設計のレンズをF1.9にしたものと推定している。本レンズの権利者は設計者御本人の風巻友一氏になっていて、小西六写真工業ではない。本レンズはゾナー型レンズの欠点を改良したものである。ここではライカの標準レンズの焦点距離である51.6mmにした時のデータを示す。

HEXANON 50mmF1.9(L)のレンズ構成図

本レンズ構成は、第1レンズがメニスカス凸レンズ、第2レンズがメニスカス凸レンズで第1レンズとガラスは同じものがつかわれている。次に第3レンズはメニスカス凹レンズとなり、ここまでで前群となり、前群に貼り合わせ面がない。絞りを介して後群として、第4レンズの両凹レンズと第5レンズの両凸レンズ(ガラスは第1と第2レンズと同じ種が使われている)とが貼り合わされて合成焦点距離として正パワーを持つ第4群を形成し、第6レンズの両凸レンズからなる5群6枚構成のレンズとなっている。パワー配置は順に、++-|(-+)+となる変形ガウス型構成である。バックフォーカス長は30.15mmである。

本レンズは旧ガラスだけで構成された5群6枚構成のRF用標準レンズであり、後にSLR用に改良されていく、ベースとなった風巻氏の最初の標準レンズ構成というのが筆者の印象である。

HEXANON 50mmF1.9(L)の収差図(縦)

HEXANON 50mmF1.9(L)の収差図(横)

HEXANON 50mmF1.9(L)の非点収差図

HEXANON 50mmF1.9(L)のLateral Color(倍率の色収差)

HEXANON 50mmF1.9(L)の2nd. Spectra(波長によるピント面移動)

HEXANON 50mmF1.9(L)のスポットダイヤグラム

HEXANON 50mmF1.9(L)の波長毎のスポットダイヤグラム

HEXANON 50mmF1.9(L)の波長毎のスポット径の像高変化

HEXANON 50mmF1.9(L)の幾何光学的MTF(7.5/15/30LPM)

HEXANON 50mmF1.9(L)の幾何光学的MTF(10/20/40LPM)

本レンズはピント位置を0.13mmほど物点側に繰り出した方がMTF特性は改善し、解像度が上がる。このような特性はオールドレンズには多く見られる。