SMC PENTAX 1:1.4 20mm Prototypeレンズの特許について
特許は出ているのがわかっていたのですが、調べたら試作レンズとしてPhotokina 1976で発表されているとは思わなかったレンズが、このSMC PENTAX 1:1.4 20mm Prototypeです。このレンズの特許は旭光学工業の杉山孝浩氏の特公昭61-42245(1975年出願)=US4095873A(filed 1976)の実施例2と推定される。イタリアの某サイトによると実施例1がこのレンズの構成となっているが、アメリカのPENTAXFORUMにも構成図が出ていないが写真は出ていた。2つのサイトの共通点は9群11枚構成のレトロフォーカス広角レンズであるという点である。当時のレンズ構成は恐らく正式には公開されていなかったのでしょうか?
この特許には実施例が豊富で6例もある。この内9群11枚構成という点が正しいとすると、実施例1か実施例2が該当することがわかる。そこで最初実施例1が製品化されることが多いので、その値を入力して計算した結果が次の図です。
実際にこの値を入力すると何と結像しないのです。
ということでこの試作レンズの構成は実施例2のレンズ構成図を示す。
こちらはしっかり像を結ぶので、本試作レンズは恐らく実施例2ではないかと推定される。特許には内蔵フィルタが第4レンズとして記載されているが、試作品の写真をみると内蔵フィルタがあるような構成になっていない。しかし、ここではそのまま計算している。第1レンズは凸レンズ、第2レンズは凹レンズ、第3レンズは凹レンズの3枚が前群で+--3群構成で合成焦点距離:-23.39mmである。第4レンズはフィルタから始まるマスタレンズ群であり、0(+)|+-(+)+合成焦点距離は+25.97mmとなっている。このレンズの発売されなかったSMC PENTAX-M 1:1.4 35mmと同じく第1レンズが正のパワーの凸レンズとなっている。スーパータクマーの初代35mmF2レンズの第1レンズも凸である。時期的に第1レンズが、正のパワーレンズで始まるレトロフォーカスレンズは「第1世代」と呼ばれているようで、このレンズも古い設計思想で初期設定をしてしまったのはないかと想像している。
ご覧のように幾何光学的MTFは最悪である。これでは試作で終わったのがよくわかる。
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