ペンタックスレンズ研究会

ペンタックスレンズ他光学特性データを示します。

(69)SMC PENTAX 1:3.5 18mm(smc pentax 1:3.5 18mm)のレンズ特許データについて

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの特許データについて

SMC PENTAX 1:3.5 18mmはタクマーレンズ時代には存在しない焦点距離のレンズである。しかも小型化されたMレンズ時代とはコンセプトも異なるため、1975年に登場したKシリーズ用レンズの1本であり、非常に製造本数も少なく今となっては貴重な焦点距離の超広角レンズとなっている。このレンズの特許はUS3841736=日本特開昭49-12823(1972年出願1974年公開)日本特許第852365号で発明者は旭光学工業の高橋康夫氏である。このレンズ構成は11群12枚構成の実施例2が製品と近い構成であるのでこの実施例2のデータを示す。

SMC PENTAX 1:3.5/18のレンズ構成図

SMC PENTAX 1:3.5/18のレンズ構成図

第1レンズがメニスカス凹レンズ、第2レンズがメニスカス凸レンス、第3レンズがメニスカス凹レンズ、第4レンズがメニスカス凹レンズで構成される前群レンズ群となっている。第5レンズ以降がこのレンズではマスタレンズ群となっているレトロフォーカスレンズ構成をなしている。第6群はフィルタで、本レンズでは4種内蔵レンズとなっていて、このフィルタにはUVがなく通常はSKYLIGHTを用いることになる。特許では内蔵フィルタの記載がないので、実施例2のデータにフィルタを追加して計算している。また、絞り位置の記載もないので、内蔵フィルタの後ろ側に絞りを配置している。このレンズは刻印の違いで前後期モデルの2種が存在している。下に示した筆者のものはsmcと小文字から始まる後期モデルである。

SMC PENTAX 1:3.5/18(筆者所有品)

SMC PENTAX 1:3.5/18(筆者所有品)

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの球面収差・像面湾曲収差・歪曲収差図

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの収差図(横)

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの収差図(横)

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの非点収差図

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの非点収差図

球面収差は色収差が大きいが、各波長でプロファイルが似ていて、やや負修正気味である。さらに、非点収差も大きく、本ソフトでは周辺でうまく計算できないため図示しないが倍率の色収差がかなり大きい。このため、周辺は色滲みが目立つ像を示すことが予想される。

SMC PENTAX 1:3.5 18mmのスポットダイヤグラム

SMC PENTAX 1:3.5 18mmのスポットダイヤグラム

SMC PENTAX 1:3.5 18mmのスポットダイヤグラム(波長毎)

SMC PENTAX 1:3.5 18mmのスポットダイヤグラム(波長毎)

SMC PENTAX 1:3.5 18mmのMTF

SMC PENTAX 1:3.5 18mmの幾何光学的MTF

このレンズがこれで製造終了した理由は、MTF図を見るとわかるかと思う。超広角レンズであるが、MTF特性もよくなくコントラストが全体に低下して甘い像を示すからである。
一応、作例を示しておく。

作例1 PENTAX LX, SMC PENTAX 18mmF3.5(F8) Agfachrome PercisaCT100

作例1 PENTAX LX, SMC PENTAX 18mmF3.5(F8) Agfachrome PercisaCT100

 

作例1 PENTAX K-1MkII, SMC PENTAX 18mmF3.5(F8)

作例2 PENTAX K-1MkII, SMC PENTAX 18mmF3.5(F8)

デジタル一眼レフだとCMOS素子のマイクロレンズが配置されているために、このレンズはデジタル用の光学系ではないために、周辺減光が目立つことがわかる。コントラストも低いことがフィルムより顕著にわかるかと思う。

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