SMC PENTAX-6X7 1:5.6 500mmの特許について
このレンズは1978年12月に発売されたSMC PENTAX-6X7シリーズレンズとSMC TAKUMAR/6X7シリーズからレンズが一新された内の1本として登場した300mmを超える望遠レンズとして初の内爪バヨネットマウントのレンズであった。本特許のレンズ構成から旭光学工業の新井保則氏設計の特公昭54-17835(1977年出願)の実施例1が相当すると推定した。本特許は実施例が2例掲載されていて、本来はF3.5の設計の4群4枚構成の望遠レンズであるが、収差図中に半画角ω=5.2度の記載もあり、500mmF5.6の画角2ω=10.2度であり、本特許データをベースにして67用として計算を行ったものを紹介する。したがって、若干カタログ掲載のレンズ構成図と差異がある部分があることをご承知おきください。なお、本レンズはおそらく従来のSMC TAKUMAR 500mmF4.5やSMC PENTAX 500mmF4.5と類似の光学系であり、似た特性と推測しています。このレンズはEDやSDレンズなどの素材を使用しない望遠レンズであり、色収差が大きいので、67用に収差が元々大きいのでF4.5ではなく一段絞ったF5.6としたと考えられるものである。新井氏は天体ファンであり、天体望遠鏡の光学設計も担当されていたことから、3枚玉アポクロマートに凹レンズを付けた光学系と見て取れなくもない構成である。
本レンズは第1レンズが両凸レンズ、第2レンズが両凹レンズ、第3レンズがメニスカス凸レンズであり、平凸レンズではない。絞りを介して後群がメニスカス凹レンズとなっている。望遠比は0.92である。ガラスは色で示したように3種類しか使われていない。レンズ口径が大きくなるので、コスト面などから第1レンズはBK7相当のBSC7をアサインしてみた。
球面収差は完全補正型であるが、色収差が大きい。
色収差が大きく残っていて、非点収差も大きいので、解像度が周辺で低下するため、MTFも全体に低くなっている。このレンズもどちらかというとモノクロフィルム時代の設計でオルソ系フィルムにY48フィルタを付けると良い像を結ぶが、デジタルカラー時代のレンズではないことが今となっては仕方ないオールドレンズの望遠レンズである。