KONICA HEXANON AR 57mmF1.2の実用新案データについて
今回は風巻友一氏の設計の流れを汲む小西六写真工業のHEXANON AR 57mmF1.2を取り上げる。本レンズはフランジバック長40.5mmと他社より短いため、レンズ設計としは余裕があるKonica ARマウントの6群7枚構成の標準レンズである。本レンズの設計は小西六写真工業の木下三郎氏設計の実新公昭47-19025(出願1968年)である。
本レンズの構成は、第1レンズがメニスカス凸レンズからなり、第2レンズがメニスカス凸レンズからなり、さらに第3レンズはメニスカス凹レンズから前群が構成される。絞りを介して、後群が第4レンスのメニスカス凹レンズと第5レンズの両凸レンズとを貼り合わせて全体で正のパワーを持つ第4群を形成し、第6レンズのメニスカス凸レンズ、第7レンズの両凸レンズから後群が構成され、6群7枚標準レンズとなっている。パワー配置を書くと、++-|(-+)++となり、貼り合わせ群をレンズ1枚として見た場合のは位置は、++-|(+)++となっている。
35mm判50mmF1.2標準レンズが発売されるのは1975年の旭光学のSMC PENTAX 50mmF1.2まで待たねばならず、そういう意味ではフランジバック長が40.5mmと短いARマウントは設計に余裕があったので、このような大口径レンズができたものと推測する。
以下、早速いつものように各設計データを57mmにしたときのデータを示します。
このレンズの最大の欠点はこの倍率色収差が周辺に向かって大きく素直に波長毎にずれていることだろう。
このレンズはMTFを意識した設計をおそらくしていないものであった時代のものだと推定されます。