SMC PENTAX FA 28mmF2.8ALの特許データ & SMC PENTAX FA 28mmF2.8 Softについて
この2本のレンズはカタログのレンズ構成図を見るとほとんど同じように見える。恐らくハイブリット非球面レンズを採用しているものであるから、そのハイブリット非球面を採用しないでソフトフォーカスレンズが作られたのはないかと想像されたので、確かめてみることにした。
このSMC PENTAX FA 28mmF2.8AL(1991年-2004年発売)の特許は、旭光学工業(当時)の平川 純氏設計の日本登録特許29915214号(特開平4-261511)です。このレンズの発売年である1991年に出願されたものである。実施例が全部5例あるが、実施例1と2が研削非球面レンズを使用したもので、第3実施例から第5実施例まではハイブリット非球面である。詳細は推定であるが、非球面係数の関係から製造条件を単純な方が加工性がいいことから実施例3が製品に近いと推定している。今回その実施例3のデータを使って解析をした。
SMC PENTAX FA 28mmF2.8ALの非球面は第4レンズの第7面側がハイブリット非球面が形成されていて、それを単純に球面化してみることにした。それがわかるようにGIFアニメーションにしてみたのが下の図である。ピントが前側で結ぶ球面収差負修正タイプのソフトフォーカスに見事になることがわかるだろう。これがSMC PENTAX FA 28mmF2.8Softレンズのからくりではないかと推定される。つまり、このレンズは非球面レンズを単純に球面レンズ化して部品の共通化が図れてコストダウンで2製品が実現できる合理的な商品作りで実現したユニークなソフトフォーカスレンズではないかと推定される。もう少し真剣に検索してみたら、SMC PENTAX FA28mmF2.8SOFTの特許が見つかりました。設計者は同じく平川 純氏である。特許番号は特開平9-179023(1995年出願1997年公開)である。実施例1を計算してみることにしたので、後述します。このレンズ製品は1997年発売で2007年終売である。
まずは設計思想を確かめる意味で、SMC PENTAX FAmmF2.8ALの第4レンズのハイブリット非球面を単純に球面化したテストを示します。
見事に非球面を球面化しただけで、球面収差負修正タイプのソフトフォーカスレンズに見事になることがわかった。
改めて、SMC PENTAX FA 28mmF2.8ALのレンズ構成図を示しておく。
第1レンズは両凸レンズで、第2レンズはメニスカス凹レンズです。この2群で負のパワーを持つ前群となっている。第3レンズ以降がマスターレンズとなるマスタレンズが非球面トリプレットタイプのレトロフォーカスである。しかも、このマスタレンズですが、凹レンズを挟んだ前後のレンズが同じガラス種でできています。最終レンズはハイブリット非球面であることは前述のとおりです。
次にソフトフォーカスの推定光学系について改めて構成図から示しておく。これはAL判の第4レンズを球面化しただけである。
ソフトフォーカスなので、一応収差図を示しますが、スケールが異なることに注意してください。
ソフトフォーカス効果の変化を示すために、絞り開放F2.8~F16に絞ったときの変化を示しておきます。
最後にSMC PENTAX FA 28mmF2.8ALの第3レンスにはコバに溝が切られている。これは固定絞りになっていて、収差補正の効果が実はあることが解析していてわかった。従来こちらにアップしてきたレンズではここまで考慮しないで解析してきたものもある。今回まだ掲載していないが、固定絞りを特許データに記載しているDA70mmF2.4
Limitedレンズにそのデータが記載していることから、今回、カタログ構成図に溝があるので、それをできる限り再現してどうなるか解析してみた。意味がわかりにくいので、構成図に違いを示そう。
このようにレンズのコバの形状は収差調整に使われていることが今回の解析でわかりました。このあたりの解析を示しているところは今までないのではないでしょうか。
正式なSMC PENTAX FA28mmF2.8SOFTのレンズの特許は特開平9-179023で実施例が4例があるが、F2.9のレンズが2例でているの実施例1を計算した。
構成図がこちら
最後にSMC PENTAX FA28mmF2.8ALとSMC PENTAX FA28mmF2.8SOFTの比較をしてみた。
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