Super-TAKUMAR/6X7 1:2.8/150 & Super-Multi-Coated TAKUMAR/6X7 1:2.8/150の特許について
今回紹介するペンタックス6X7シリーズ用の第1世代のラインナップの内の1本である4群4枚構成の中望遠レンズであるSuper-TAKUMAR/6X7 1:2.8/150 & Super-Multi-Coated TAKUMAR/6X7 1:2.8/150を取り上げる。画角が33度と35ミリ判では85mmではなく75mm相当といった画角にあたる。このレンズの特許は、旭光学工業の風巻友一氏と高橋泰夫氏によるUS3506341(1966年出願)の実施例1と推定される。この特許明細書にはアメリカ特許庁の見解として参考特許が3件記載されていた。1)US2683396(Schneiderの5群6枚変形ガウスタイプレンズ)、2)US2826116(Canonの5群5枚の変形ガウスタイプレンズ)、3)US3152213(LEITZの5群6枚の変形ガウスタイプ)が掲載されている。いずれも望遠レンズ用ではなくいわゆる標準レンズ領域の焦点距離用レンズの設計である。
レンズ構成は、第1レンズがメニスカス凸レンズ、第2レンズもメニスカス凸レンズ、第3レンズがメニスカス凹レンズで、ここまでは前群を成し、絞りを介して、後群の第4レンズのメニスカス凹レンズ、第5レンズの凸レンズを構成する5群5枚構成(++-|-+)の変形ガウスタイプの150mmF2.8中望遠レンズである。このレンズの実物のレンズ構成図とは微妙に違うが、発売時期から該当のレンズ構成図からこの特許と判断しました。ちなみにこのレンズは、初代はモノコーティングで、のちに多層膜コーティング化されている。望遠比は1.12である。
このレンズは青色の色収差が大きく残っているため、青ハロが目立つ像を示す。モノクロではY2フィルタを付けて撮影するのが普通であった。このレンズもそのような点を意識した設計といえる。作例1はSkylightフィルタを使用したモノクロフィルムで撮影したものである。